イデーの草創期 #4

December 29, 2023

1983-1984年頃は僕にとってはファションと建築とアートに目覚めた時期であった。コム・デ・ギャルソンの名刺を持ってニューヨークやシカゴやロスに行ったし、パリではショーの手伝いもした。

また、IDÉEではフィリップ・スタルクの家具を発表したり、新しいデザイナーとのコラボレーションを始めた。

ロンドンで友達になった1人に、建築家、デビッド・チッパーフィールドがいた。当時は若くて少人数で活動していた。そんな彼は、彼は今年プリツカー賞という建築界のノーベル賞のような賞をとったし、現在ではアシスタントが300人以上かかえる建築家になった。彼に後藤美術館の建築の仕事を紹介したりもした。

フィリップ・スタルクも僕が知り合った頃は一人でやっていた。カフェコストという古さと新しさが共存した空間を作っていた。フィリップ・テリアンというハンサムなフランス人の代理人と、彼のデザインで、日本での製作の家具を企画した。

IDÉEというアール・デコを基にしたブランドに続き、FORMというフレンチ50'sデザインを再生するブランドを打ち立てたのは、特筆すべき事だった。骨董品であった50'sや60'sのデザインの家具や照明器具や、デザイン雑誌のコレクションなどを買い集めていた。

日本の方では、柳宗理のバタフライスツールを再生すべく、天童木工の菅澤さんに会いに行った。今でこそバタフライスツールは再生産しているが、当時は生産をストップしていた。僕らが買うからまた生産を再開しないかと、当時の天童木工の社長に頼み込んだ。僕は家具業界では素人だったので、良いものならまた作ればいいという感覚だった。

セルジュとの出会い ▶

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