粋とは?

September 8, 2013

今年の夏は暑かった。禅の研究で有名な鈴木大拙が亡くなったとき、アナウンサーが休み明けで、ぼけていて、蝉の研究と間違って読んでしまって、進退伺いを出したということを記事で読んだ。

元々、英文で、禅と日本文化についての著作を沢山書き禅とは何か?などの解釈は、外国人に説明する様に、日本人に書いていてある。僕はずっと鈴木大拙に対する畏敬の念を持っていた。もし僕がアナウンサーだったらどうしただろうか?

でもそこを蝉と禅とは共通項があると、もしアナウンサーがすぐ気がつき、(蝉の鳴き声を暑さの中で聞きながら、霊性の自覚を悟った禅の研究者鈴木大拙氏が亡くなりました。)と言ったとしたら、これは粋だっただろうな。などと暑さの中で考えた。

武士道を書いた新渡戸稲造も奥さんがアメリカ人で、英文で武士道を書くということは、外国人にも解る様に、論理的に武士道を説明したということだ。僕はこの武士道を読んで、日本人の心を理解する。一度外国語に直して、それから日本文化を考えてみることがこれからの日本人にも必要ではないだろうか。

日本人であることに安住してしまい、自分たちしか理解できない感覚や概念だと決め込んでしまっていないだろうか。イギリス文化もフランス文化も、自国の言葉以外にきちんと話して、説明することをさぼらない。

あの九鬼周造でさえも粋の構造を祇園の芸者の奥さんとの関係の中で、自己を見つめる様に、書き上げた。何回読んでも、完全には理解できないけれど、粋とは何か?をきちんと英文で書いておく必要があるとふと思った。

英語のCOOLクールという感覚は、1960年代にジャズが音楽として認知され始めた頃、黒人のジャズプレーヤーが汗をかきながら演奏しているが、曲や目線が涼しく、かっこいい。その感覚がクール。ここから始まって最近では何でもかっこいいというのがクールといわれる。

日本人もクールという様になった。でも日本人は<粋>じゃないかと思う。粋な行為。粋な着こなし。粋な言葉。粋な振る舞い。粋とは日本人の美意識の琴線にふれている。デザインやアートや生き方や行動の基準になる日本人的な美意識。

粋を外国人に英語で説明できるかどうか。僕はふとこれをこれからの課題としてやって行こうと思う。まず粋だなと思う場面を集めてみよう。善悪や正しいか間違いかを超えて存在する概念、粋。粋だったら間違っていてもいい位に思う。

粋にタバコを吸うのなら、体に悪くたって別にいい。格好悪い善人より格好よい悪人の方がいい。粋でありさえすれば。これから、そうした例を書き留めてみようと思う。

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