真実は煙の中に

March 11, 2008

The truth is in the smoke.

これは流石創造集団の子会社が原宿で運営しているスモーク バーアンドグリルのオープンの時に考えついてポスターに入れた言葉。

Bob Dylanのthe answer is blown in the wind(風に吹かれて)、という歌では戦争で何人の人が死ねば人間はもう少し賢くなるのかを題材にしていたが、あえて答えはこうだとはいわず、風に吹かれてといってる所が良い。

また近年起こっている様々な事柄との共通点として、60年代後半のベトナム反戦運動からの流れが記憶に蘇ってくる。

最近の風潮では、マリファナとタバコは全然違うと思うのだが、タバコもドラッグかのように、とにかくいけないと禁止するのは気に入らない。僕には普通では良くないといわれている事を全て疑い、同時に良いといわれている事も下から覗き疑って見る癖がある。

バラク・オバマは、ハワイでケニア人の父とフランス系アメリカ人の母の間に生まれ、その後ジャカルタで育つ中で、自己のアイデンティティーに悩み、ティーンエイジャーの頃は色々と吸っていたらしい。たとえそれを選挙運動中いったとしても、大衆がそれでも彼を認めてしまうとこがアメリカの良い所でもある。

インディアンが吸っているのをまねたことから始まったこの喫煙文化を、健康に悪いという点だけでヒステリックに押さえ込むのは良くないと思う。だからバーアンドグリルでは煙草だけでなく葉巻も吸えるし、料理からは煙が立ちこめている。でも天高が5m80もあるため煙くはない。

そういえばハウスワインの中にはSmoking Loonというのもあるし、ウヰスキーのハイボールなども飲む事ができる。

これからの社会は、様々な人の多様な価値や趣味をまず認めて理解することから上手く廻らなくなると思う。デザイナーやクリエイターといわれる人たちの中でも愛煙家はいるし、僕の友達の趣味人のオヤジ達の多くは格好良く葉巻を吸う。

しかし決して煙草中毒という訳ではなく、毎日ほど良いタイミングで一服、タバコや葉巻を吸う。僕らの事務所ではキッチンが打ち合わせ場所になっている、ここで吸気をまわして色々なことを話す。

世の中には根を詰めて考えても答えでない事がたくさんある。真実は煙の中にあるんだという事が、僕の見つけた真実なのかもしれない。世の中をケムに巻き、煙たがられても好きなことを言ってきた。

僕が学生時代始めた最初のビジネスは、イギリスから骨董品を持ってきて日本で売ったこと。その当時はオイルライターをたくさん集めては楽しんでいた。昔の喫煙具は最高に良く出来ていて、例えばダンヒルなども今でこそファションブランドになってるけど、初めは喫煙具からだった。ダンヒルのオイルライターは通算500個位集めた。

その頃、僕の店にはサンアドのコピーライターの後に大作家になった開高健さんや、サンアドの社長だった坂根進さんなどが遊びに来てくれていた。火薬で火を付けるとても珍しいオイルライターをもったいぶって開高さんに売ったのを覚えている。

開高さんは色々な事を知っていて何でも持っていたが、店に来ると最後は結論を言い切らず、なんだか煙に巻くようなことを言い残して去って行ったものだ。the truth is in the smoke.とでもいうように。

cigar.jpg

農業の再生とライブラリー ▶

twitter