潮目が変わったのか

May 13, 2008

新聞で、売り上げが5%/利益が30%下がるだろうという予測に対して、トヨタの社長は「社会の経済の潮目が変わり、一企業の努力の限界を超えた。」というようなことを言っていた。

鉛筆一本までもきちんと管理し、コストを切り詰めて、企業としての改善努力を極限まで行い、省けるものを最大限省き、真面目に事業に励むという日本的経営の現在の理想型が、世界の潮流から限界点に達したのだろうか。

一方、マイクロソフトやグーグルのような、資産が人材/アイディア/知的所有権/ブランドにあるような会社の時価総額が、こういった製造業を超えている。

才能や情熱や時代を読む目を持った人々が集まる組織では、勤務時間の20%前後を仕事以外に使えといったりしてる。クリエイティブである為には同じ事だけをしてはいけないと。こうした企業では、社会貢献や多様な価値観視点の自由さこそが財産だという事だ。

そこではデザイン感覚やシャープな創造性が要求される。そしてこうした企業では、会社の環境や空気が、有能な人を寄せ付け、未来をみるビジョンを持っ事ができる人が大切にされる。

さて潮流は何故変わり、これからどうなるのだろうか。

世界の人口が70億人になろうとしている。40年前は30億だったのに。そして地球環境が異常をきたし、温暖化が目に見えてきた。このままエネルギーを使い、消費を促して経済を拡大させる事の延長に人類の未来があるとは思えない。

若者は数年前から自動車に乗る事よりも緩く自転車や歩く事を選び始めている。実際、都会の若者は別に18歳になっても免許を取らなくても平気だろう。

巨大デパートで買い物するより、身近なお気に入りの店で買い物をする。やる気満々でマニュアル通りの応対するチェーン店のレストランより、地域の食材を使った味が良いレストランで食事をする。

今までの消費指向が徐々に崩れ始めている。お金や消費の数的なものから、質的な上昇や精神的深さによる満足に変わって行くのではないか。すなわち人々の関心は創造的な喜びや文化的楽しみに移行し、また異性の感覚や国際的な感覚も判らないと時代から取り残される。

技術的なイノベーションから、社会のシステムや会社の意思決定システムを改良しなければいけない時が来ている。他人と同じことをやっている事が真面目ではなく、現実に直面して自己の意思で真っ向から立ち向かう事が真面目なのだという事に気がつき始めているのではないか。

こうした変化に対して僕はわくわくするのだ。

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