デザインを囲む環境の変化を北欧で見ると

February 9, 2008

20年前にストックホルムを訪れた時は、3月なのに日本の正月並の寒さだった。18年前の2月はマイナス20℃だったのを覚えている。5-6年前もだいぶ寒かった。

一方、昨年の1月末に訪れた時は雪が殆ど残っておらず、暖冬だといわれていた。そして今年は、東京よりは寒いようだが、あまり雪も残っておらず、レクサンドは去年よりも雪が少ない。地球の温暖化は北欧でも肌で実感する所迄きたということだろうか。

そういえばオランダの金持ちは温暖化のため水位があがってしまうのを恐れて、50年後の子孫の為にスウェーデンのダーラナ地方に家を買っているそうだ。

今年のストックホルムのデザインウィークは、SAVE THE PLANET IN STYLEというテーマで、殆どがエコ/リサイクル/グリーンに根ざした、エネルギー消費を抑えた、サステナブルで地元優先なものを見せている。

FRONTという女の子のデザインチームは、ホテルロビーのカーペットやソファーに木目のパターンを印刷して世界観を出していた。ファーニチャーフェアの正面ではジュリオ・カッペリーニがグリーンの家具ばかりを並べ、デイビッド・デザインのデイビッド・カールソンはリサイクルや環境問題のセッションをオーガナイズしていた。

彼らも贅沢で格好よいだけのデザインよりも、これからの流れに対応すべく会社を売って新しい事を初めていた。これは期せずして僕がイデーを離れたのと同じころだった。家具屋からデザイン思想家やプロデューサーになるのかと、デイビッドとカッペリー達と話した。2人ともお洒落で素敵だった。

ニューヨークのスティーブン ・ バークスはリサイクルを生かした色々なアイディアをクラフト・カフェと称して並べていた。

ここ数年ミラノやパリでファションと大企業と組んでデザインが大きな流れを作り、マーク・ニューソンやフィリップ・スタークはお金持ちになった。これはデザインがもはや企業のイメージには欠かせない要素であることを示しているし経済的にも力を持ってきた事を示している。

そこから更にユニバーサル・デザイン、サステナブル・デザイン、エクスペリエンス・デザインという様にデザインに境界がなくなってきている。7-8年前は東京のTDBの方がデザイン的にいけていると思っていたが、現在では北欧やオランダのデザインがリードしている。

そしてエバさんがSvensk Formというスウェーデン・デザインの会社を引っ張っている。みんな僕の身近の人達で感慨深いものがあるが、その一方、今後どうやって行くかが重要だと思う。

ホテルのテレビではアメリカの大統領選挙の模様が映され、それをみんな見ているが、どのみち世界は変わるが、どう変わるかの見解がそれぞれ違うようだ。

こうして世界中が流れ始めている中で本質的に何が大切かという事を常に対話形式で教育している北欧の教育が効果を発してきたのだと思う。ノキアやエリクソン等の携帯や、リナックス等情報の世界でも世の中を引っ張ってるのはこうした所に理由があるのかと思う。

世界のデザインを囲む状況は大きく変わってきた。フィンランドやスウェーデンに再注目してみようと思う。

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